去年、おまじないを掛けといた。

やばい。恩田陸が好きすぎて死ねる。
ということで、長い夜に読書のお話を。



結構前に出た「図書室の海」という短編集があります。
その中のひとつのお話。
当時構想中だった長編小説のプロローグにあたる「ピクニックの準備」というお話がありました。
恩田陸の青春小説はどれも珠玉の作品です。
私は恩田陸が書く学生たちの姿にやみつきなのです。
そのひとつの短編集は、近い将来にまた恩田陸が青春小説を発表するという予告であり、
おまけにそれは、どうもとても面白いお話であるらしいという予感を与えてくれるもので、
私はいつの日かその長編を読むのをずっと楽しみにしていました。


ついに発表されたのを知ったのは、本屋大賞受賞のポップと共に平積みされているのを
目にしたときでした。(ハイ、遅かったです)
これは。
ほれみろ、よほど素晴らしい作品であるようだ!
私はどうしてもハードカバーが苦手で、ほぼ全てを文庫本でフォローしています。
なのでどんなに恩田作品が好きでも、発表されてから手に取るまでに、
ひどいときは5年近くあいだがあいてしまいます。
と言ってもいつものことですし、気をつけていればネタバレすることもないので、
私は今回もずっと待っていました。
ただ、ほかの本の時より格段にうずうずしていましたが。
そして少し時間が経った頃、なんと映画になると言う。
もう我慢できない!
そんなとき、映画公開にあわせてめでたく文庫化し、
(夏休みの課題レポートもようやっと全てが片付き)
ついに私は「夜のピクニック」を手にすることが出来たのでした。
いやー。待った!



で、読みました。
もうね。
途方もなくステキな小説を読み終わった後のこの脱力感は、
正直に言うと生活するうえで非常に邪魔になります。
ひどいものです。どうにかならないものか。
本当に恩田小説が肌に合うようで、しつこいようですが特に青春小説。


二人の主人公の間にある、誰にも知られていない秘密の関係ゆえの、
互いへの緊張した感情。
これがこのお話の根底にあり、
一晩のイベントの中で、歩きながら友人と話したり、黙々と一人考えたりすることで、
蛇行しながらも少しずつ、向かわなければいけない出口を探していく。
ネタバレしないようにあらすじを書くのって難しい。


映画に興味を持った人で、活字を読む余裕のある人には、
ぜひとも先に小説を読んでみてほしいですね。
じゃないと勿体無さすぎる。
ただのファン心理ですが。



今のところの文庫化された恩田作品の中の、学生がストーリーの主軸にあるものでは、


1:麦の海に沈む果実
(不動の一位。読後しばらく私という人間が使い物にならなかった)
2:夜のピクニック
(ファンタジー要素の無い純粋な青春小説の中ではダントツです。シンプルイズベスト)
3:蛇行する川のほとり
(恩田節ミステリーが炸裂。ぐるぐる・ドキドキ・びっくりでものすごく楽しかった)


私はこんな感じで順位が付きます。
次点はネバーランド。さわやかで読みやすくおすすめであります。
六番目の小夜子は、先にテレビドラマを見てしまったので、そっちの方に愛着が行ってしまって。
青春小説以外なら、ライオンハートがよく本屋さんでプッシュされてます。
あと、最近どんどんシリーズ化してる常野物語。泣けます。
(文庫化してないから最初の短編集しか読んでませんが。)
ほかにもまだまだありますがキリないのでこの辺で。



いやあ、楽しい。楽しいよ読書の秋!
次は上下巻の黒と茶の幻想に取り掛かるぜ。
てか上下巻やめてくれー。分厚くていいから一冊にまとめてくれ。値段2冊分でも構わないからさー。
以上読書話でした。